SNSで見かけるような、キラキラしたデジタルイラスト。「自分もあんな風に描いてみたい!」と思っても、
「何から揃えればいいの?」
「ペンタブって色々あるけど、どれが自分に合うんだろう…」
「専門用語が多くて、なんだか難しそう…」
そんな風に、最初の一歩が踏み出せずにいませんか?
ご安心ください! この記事では、そんなデジタルイラスト初心者の方が、明日からでもイラスト制作を始められるように、必要な道具の選び方から、おすすめのソフト、そして簡単なイラストが完成するまでの全手順を、図解をたっぷり使って分かりやすく解説します。
私が実際に初心者の頃につまずいたポイントや、「こうすれば良かった!」というコツも交えてお伝えするので、遠回りせずに上達できますよ。
この記事を読み終える頃には、デジタルイラストを始めるための不安はすっかり消えて、ワクワクした気持ちで最初の一歩を踏み出せるはずです。さあ、一緒にデジタルイラストの世界を楽しみましょう!
そもそもデジタルイラスト(デジ絵)とは?アナログとの違いと魅力
「デジタルイラスト」と聞くと、なんだか特別な響きがしますが、簡単に言えば**「パソコンやタブレットを使って描くイラスト」**のこと。略して「デジ絵」とも呼ばれます。
紙とペンで描く従来の方法を「アナログイラスト」と呼ぶのに対して、デジタル機器を使って描くのが「デジタルイラスト」です。
「紙に描くのと何が違うの?」と思いますよね。
まずは、デジタルで描くことの大きな魅力と、知っておきたいちょっとした注意点を見ていきましょう。
デジタルイラストの3つの大きなメリット
メリット①:何度でも、一瞬でやり直せる!
アナログで一番緊張するのは、清書で線を失敗した時ですよね。デジタルなら大丈夫!**「元に戻す(Ctrl+Z)」**というショートカットキーを押すだけで、いつでも一つ前の状態に一瞬で戻れます。まるで時間を巻き戻す魔法のようです。この「失敗を恐れずに描ける」という安心感は、デジタル最大の魅力です。
メリット②:画材コストが低く、部屋も散らからない
アナログで色を塗ろうとすると、数十色のマーカーや絵の具、たくさんの紙が必要になり、数万円かかることも。その点、デジタルなら一度機材を揃えてしまえば、ソフト(アプリ)の中で何万色もの色を自由に、無料で使えます。 ペンの種類も豊富で、画材はすべてデータの中に収まるので、机の上はいつもスッキリです。
メリット③:加工やSNSでの共有がかんたん
デジタルで描いたイラストは、完成後に明るさを変えたり、色味を調整したりといった「加工」がとても簡単。そして何より、完成した作品をすぐに高画質のまま、SNSに投稿できます。
知っておきたいデメリット
初期費用がかかる: パソコンやペンタブレットなどを揃えるのに、数万円〜の初期費用が必要です。ただ、後述するように手持ちのスマホからでも始められます。
機材の操作に慣れが必要: 最初は操作や描き心地に戸惑うかもしれません。こればかりは「習うより慣れよ」で、少しずつ触っていくうちに必ず上達するので安心してくださいね。
【ステップ1】何が必要?デジタルイラストの道具を揃えよう
ここが最初の関門ですよね。デジタルイラストを始めるための道具は、大きく分けて3つのスタイルがあります。あなたの予算や「どんな風に描きたいか」に合わせて選んでみましょう。
【王道スタイル】パソコン + ペンタブレット
本格的にイラストを始めたい、いずれはプロも目指したい、という方におすすめなのがこの組み合わせです。
ペンタブレットには、大きく分けて2種類あります。
板タブレット(板タブ): 手元の板の上でペンを動かすと、パソコンの画面に線が描かれます。安価なモデルが多く、初心者でも始めやすいのが魅力。
液晶タブレット(液タブ): 液晶画面に直接ペンで描き込めるタイプ。紙に描く感覚に近く、直感的に作業できますが、高価になります。
初心者におすすめのモデル
Wacom Intuos small: 業界標準メーカー「Wacom」の、初心者に一番人気の板タブです。
XP-PEN Decoシリーズ: 低価格ながら高性能で、コスパ抜群のメーカーです。
【手軽さ重視スタイル】iPad + Apple Pencil
「場所を選ばず、気軽にお絵かきしたい!」という方には、この組み合わせが最強です。
初心者におすすめのモデル
iPad(無印): 最も安価なモデルですが、お絵かきするには十分すぎる性能です。
iPad Air: 少し性能が上がり、使い勝手も向上するバランスの取れたモデルです。
【お試し0円スタイル】スマートフォン + 指 or タッチペン
「続くか分からないし、まずはお金をかけずに試したい」という方は、今お持ちのスマートフォンで始めましょう!指でも描けますし、100円ショップのタッチペンでも十分楽しめます。
【結論】あなたに合うのはどれ?スタイル別おすすめ機材まとめ
項目 | スマホ | 板タブ | 液タブ |
手軽さ | ◎ いつでもどこでも | △ PCとセット | △ PCとセット |
初期費用 | ◎ ほぼ0円 | ○ 安い | × 高い |
描きやすさ(直感性) | ○ 指で直感的 | △ 慣れが必要 | ◎ 紙に近い感覚 |
描画の精度 | △ 指やペンに限界 | ◎ 慣れれば最高 | ◎ 非常に高い |
作業時の姿勢 | × 悪くなりがち | ◎ 良い姿勢を保てる | △ 悪くなりがち |
必要なもの | 本体+アプリ | 本体+PC+ソフト | 本体+PC+ソフト |
【ステップ2】どれがいい?イラスト制作ソフト(アプリ)を選ぼう
道具が決まったら、次はお絵かきするための「ソフト(アプリ)」を選びます。定番は決まっているので安心してください。
パソコン向けソフトのおすすめ
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ):【一番人気】 日本のプロも使う定番ソフト。迷ったらこれ。
無料ソフト(FireAlpaca, Kritaなど):【お試しに】 無料でも十分な機能が揃っています。
iPad/スマホ向けアプリのおすすめ
Procreate(プロクリエイト):【iPadの定番】 シンプルで直感的に使える買い切りアプリ。
ibisPaint X(アイビスペイント):【無料で高機能】 スマホでお絵かきするなら、まずはこれ。
【一覧表】目的別おすすめソフト/アプリまとめ
ソフト名 | 価格 | 主なデバイス | 得意なこと | こんな人におすすめ |
CLIP STUDIO PAINT | 有料(買い切り/月額) | PC, iPad, スマホ | 漫画・イラスト全般 | プロを目指す人、漫画を描きたい人 |
FireAlpaca | 無料 | PC (Win/Mac) | シンプルなイラスト | PCで無料で始めたい初心者 |
Krita | 無料 | PC, タブレット | 厚塗り、リアルな絵画 | 無料で本格的なペイントをしたい人 |
Procreate | 有料(買い切り) | iPad専用 | 直感的なイラスト制作 | iPadで最高の描き心地を求める人 |
ibisPaint X | 基本無料(広告/有料版あり) | スマホ, タブレット | SNS投稿、手軽なイラスト | スマホで気軽に描きたい、共有したい人 |
【ステップ3】実践!基本的なデジタルイラストの描き方5ステップ
さあ、いよいよ実際に描いていきましょう!どんなソフトでも共通する基本的な描き方を5ステップで解説します。
① キャンバスの作成【サイズと解像度】
まず、イラストを描く「キャンバス」を用意します。ソフトを起動し「新規作成」を選び、サイズは**「1500px × 1500px」、解像度は「350dpi」**に設定すればOKです。
(スクリーンショット:キャンバス新規作成画面)
② ラフ(下書き)【「レイヤー」を理解しよう】
デジタルイラストで最も重要な**「レイヤー」**は「透明なフィルム」のようなもの。まずは「レイヤー1」に、水色などでざっくりと下書き(ラフ)を描きましょう。
(図解:レイヤーの概念図)
(スクリーンショット/GIF:ラフを描いている様子)
③ 線画【手ブレ補正で綺麗な線を描こう】
次に、新しいレイヤーを追加して線画を描きます。ここで魔法の機能**「手ブレ補正」**を使いましょう。コンピューターが線を補正して滑らかにしてくれます。
(GIF:手ブレ補正ON/OFFの比較)
④ 色塗り【バケツとクリッピングで効率アップ】
線画の下に新しいレイヤーを作り、色を塗ります。「バケツツール」でベースの色を塗り、さらに上にレイヤーを追加して**「クリッピング」**機能をONにすれば、はみ出さずに影を塗れて便利です。
⑤ 影とハイライト【乗算レイヤーで立体感を出そう】
最後に、影と光(ハイライト)で立体感を出します。影を塗るレイヤーの種類を**「乗算」**に変えると、深みのある影の色を簡単に作れます。ハイライトは一番上に新しいレイヤーを作って描き込めば完成です!
初心者がつまずくポイントと上達への3つのコツ
描き始めてみると、きっと色々な壁にぶつかるはず。よくあるお悩みと、上達のコツを3つご紹介します。
Q1. 線がガタガタになってしまいます…
A. 手ブレ補正を最大にして、ズームして描こう!
キャンバスを拡大し、腕全体を使って「サッ」と素早く線を引く練習をすると、綺麗な線が描けるようになります。
Q2. 何色を使えばいいか分かりません…
A. 好きなイラストレーターの配色を真似してみよう!
素敵な作品の色を「スポイトツール」で抜き取って研究してみましょう。真似しているうちに、自然と色のセンスが身についていきます。
Q3. 何を描けばいいか思いつきません…
A. 「模写」こそが最強の練習法です!
好きなキャラクターなどをそっくり真似して描く「模写」は、プロの技術を盗む絶好の機会。上達への一番の近道です。
まとめ
お疲れ様でした!この記事では、デジタルイラストを始めるための3つのステップ(道具・ソフト・描き方)を解説しました。
最後に、一番大切なことをお伝えします。
それは、**「楽しんで描くこと」**です。
最初はうまく描けなくて当たり前です。でも、デジタルの便利な力を借りれば、きっとあなたの「描きたい」という気持ちをサポートしてくれます。
まずは難しく考えず、お手持ちのスマホに無料のイラストアプリ「ibisPaint X」をインストールするところから、最初の第一歩を踏み出してみませんか?
この記事が、あなたの創作活動のきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。